『モノ』を読む&フィリップ・レーレによる演劇ワークショップ

ドイツ語圏の劇作家たちは、自分たちが生きる今の社会を鋭く切り取った作品を次々と発表しています。 彼らの社会は、異なる人種と文化があふれかえる、まさに多文化共生社会。 同じ時代を生きる日本の若い演劇人にとって、彼らの作品をリアルタイムに受け止め、自身の作品として表現することは、新しい視点を見つけるきっかけとなるはずです。

ドイツ語とドイツ文化の普及を活動目的としてかかげるドイツ文化センターでは、上述のような機会を創り出すことで、ドイツ文化に対するより多くの興味と理解を促したいと考えています。 その取り組みの一つとして2012年より演劇プロジェクト「VISIONEN」として、定期的にドイツ語戯曲のリーディング公演を行っています。

6回目となる今回のVISIONENでは、2011年にハンブルクで初演され、翌年にはミュールハイム演劇祭の観客賞を受賞するなど、各メディアでも話題となったフィリップ・レーレの最新喜劇『モノ』を取り上げます。 リーディング公演意外にも、ドイツの社会事情や演劇に詳しい大学教員をはじめ、『モノ』の作者であるフィリップ・レーレ氏を迎えて『モノ』を読む会(全4回)や演劇ワークショップ(1回)を開催して、作品が生まれた背景やドイツの最新演劇シーンについて語ってもらいます。

ワークショップの進行役には、様々な時代のドイツ戯曲に取り組み、自身でワークショップも主催している清流劇場の田中孝弥氏を迎え、レーレ作品のおもしろさを読み解きます。


第1回『モノ』を読む
5月18日(月)19:00〜21:00
カルチャールームB
講師/福岡麻子(神戸大学国際コミュニケーションセンター准教授)

第2回『モノ』を読む
5月25日(月)19:00〜21:00
カルチャールームB
講師/市川明(大阪大学名誉教授)

第3回『モノ』を読む
6月1日(月)19:00〜21:00
カルチャールームA
講師/寺尾格(ドイツ演劇研究会世話人)

第4回『モノ』を読む
6月8日(月)19:00〜21:00
講師/フィリップ・レーレ(劇作家)

第5回 フィリップ・レーレによる一日演劇ワークショップ」
6月10日(水)18:00〜21:30

第1回〜第5回
進行/田中孝弥
1972年生まれ。劇作家・演出家。2004年9月より一年間、文化庁新進芸術家在外派遣研修員として渡独。 ベルリン・グリプス劇場(GRIPS Theater)にて、青少年演劇を研修。1997年『愛する人達』にて、第13回名古屋文化振興賞[戯曲の部]佳作受賞。大阪教育大学非常勤講師。近年は、日韓協働創作によるオリジナル作品の発表の他、ドイツ古典演劇やギリシア劇の上演などにも積極的に取り組んでいる。日本演出者協会所属。

定員/ 20名(各回)
参加費/ 無料
対象/ ドイツ演劇・文学に興味のある方。
応募資格/ 年齢・性別・国籍不問。ただし、日本語が話せる方。
応募方法/ 下記の内容を添えてメールにてお申し込みください。
1.お名前・所属、2.年齢、3.連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)、4.簡単な略歴と応募動機
応募締切/ 5月14日(木)必着
参加者へのお願い 《『モノ』を読む》は、毎回異なる専門性を持つ講師を囲んで、作品について参加者各人の感想や解釈を話し合う会です。講師の話を一方的に聴く会ではありません。参加者には使用テキストをお送りしますので、事前に読了し、自分なりの解釈を考えてきてください。
《フィリップ・レーレによる一日演劇ワークショップ》に参加される方も、上記同様の準備をして参加されることをお勧めします。
申込先/ 大阪ドイツ文化センター 文化部(西村) miyuki.nishimura@osaka.goethe.org
清流劇場 info@seiryu-theater.jp


ドイツ同時代演劇リーディング・シリーズについて

ドイツ連邦共和国の文化機関であるドイツ文化センターでは、日独演劇人の新たな交流のプラットフォームの形成を目指して、 独自のリーディング公演シリーズ「VISIONEN」(英語の「ビジョン」と同様、視野、先見性、将来性などを意味するドイツ語)を立ち上げました。 この趣旨に賛同してくださる関西の若手演出家や劇団の参加を得て、定期的に『現代ドイツ戯曲30選』の中から選んだ作品、あるいはリアルタイムで翻訳の進む作品を取り上げて、リーディング公演の形で紹介していきます。
参加を希望される方は、下記までお問い合わせください。
◆本企画に関する問い合わせ先
大阪ドイツ文化センター 文化部(西村)miyuki.nishimura@osaka.goethe.org TEL:06-6440-5900


『モノ』(原題:Das Ding)

この世に偶然の産物なんてない。世界中で起こるすべての事象は、それぞれに関連しているし(これをグローバリゼーションと呼ぶ人もいる)、つながっている。フィリップ・レーレの「モノ」がそれを証明してくれる。
あらすじ
アフリカの青年シワが摘んだ綿の一片が、中国の青年実業家リーによってつむがれてTシャツに加工され、船でドイツに輸出されると、結婚生活に飽き飽きして、自らが出演するポルノショーをネットに投稿するカトリンの身にまとわれる。 パソコンの画面に流れるその動画をはるか遠く離れた中国で見たリーは、彼女に恋焦がれてドイツにやってきて、今シワから買った銃を手に持ち、綿が織り込まれたTシャツ(カトリン)の前に立っている。 これは大きな世界で起こっている些細な出来事から生まれるごく一部の体験にすぎない。嫉妬に露出狂、皮肉屋の美術評論家にルーマニアの精肉業者、深刻なトラウマにリアルに24時間起こる人間の運命を、95分間のうちに、小さな出来事から大きな出来事に、浴室から綿花畑に、ネットの世界から現実へ、アフリカからアジア、そしてヨーロパヘ飛び移って描く。

主催/大阪ドイツ文化センター
共催/アイホール
協力/清流劇場