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「令和4年度 次世代応援企画break a leg」参加団体の選考結果について

  2021/09/06

「令和4年度 次世代応援企画break a leg」参加団体の選考結果について

参加団体を募集しておりました「令和4年度 次世代応援企画break a leg」につきまして、たくさんのご応募をいただきありがとうございました。
選考の結果、次の団体がアイホールに登場いただくことになりました。

 

■選出団体名【活動拠点】 ※登場順
努力クラブ【京都】 令和4年6月2日(木)~5日(日)
プロトテアトル【大阪】 令和4年6月9日(木)~12日(日)

日程は劇場使用期間になります。公演日程など詳細が決まりましたら、改めてご案内いたします。今後も、「次世代応援企画break a leg」にご注目ください。

 

 

■選出理由
選考委員/岩崎正裕(アイホールディレクター)
     三田村啓示(舞台俳優)

 

【努力クラブ】
 ネガティブでありながら清々しい。審査資料の「救うか殺すかしてくれ」を読み終えてそうかんじた。場面の枠組みは作者が用意した通り順序立てて進んでいくが、いつしか綻びが生まれ、あらぬ方向に展開していく。合田団地さんの世界への眼差しは優しい。同時に人間を舐めていない。舞台の作りは素朴過ぎるほど素朴で、ある意味で完成など求めていないように感じられる。本企画には新作での挑戦となるが、アイホールの空間サイズに気圧されず、このまま突き抜けて欲しい。

岩崎 正裕

 

 近年、努力クラブ/合田団地さんは、ホン・サンスの作品群を彷彿とさせるような数々の二人芝居において、豊かな「おしゃべりの時間」を現出させてきました。そこにあるのは乾いたユーモア、揺れ動くこころとからだの機微、「弱さ」「ダメさ」を肯定する執拗で繊細なまなざしです(「弱いい派」なるものが存在するのだとしたら、彼らこそがその嚆矢だったのではないでしょうか)。一転して「救うか殺すかしてくれ(2021年)」では、「さびしい」「愛されたい」と絶叫する弱者男性の、身もフタもない独りよがりさにゾッとしながらも、私たちは今、現実の空間で・・・・・・声をあげる・・・・・こと・・がはばかられる「新しい生活様式」の中に生きていることに気づかされます。そう、おしゃべりや絶叫がはばかられる時代だからこそ、彼らの表現は必要とされているにちがいないのです。

三田村 啓示

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【プロトテアトル】
 審査資料として送られたのは「ノクターン」という作品だった。対話が積み上げられ、互いの記憶の曖昧さが浮き彫りにされる仕掛けだ。演技者のアンサンブルが演出によりよく整えられていて引き込まれた。時間を追うごとのセットの配置や俳優のポジショニングも精緻である。集団における方法論が何年もかけて実を結んでいるのだろう。FOペレイラ宏一朗さんの作劇にも手応えを感じる。本企画への挑戦は、過去の別の作品となるそうだが、自分たちの方向性を信じて進んで欲しい。

岩崎 正裕

 

 プロトテアトルという集団からは、(失礼ながら)決して派手さはありませんが、一歩一歩堅実にそのキャリアを積み重ねている様が感じられます。一度の延期を経て無観客配信公演になった「ノクターン(再演・2021年)」は、不在の人物を巡ってダイアローグが積み重ねられる、いわゆる「同窓会もの」会話劇と見せかけて、回想する主体や人間の記憶のあいまいさを問う秀逸な構造の作品であり、かつ、再演でありながら、この約1年半の「戦時下」で失われた数々の学生生活・同窓会・飲み会への、未来からの・・・・・鎮魂歌のようにも感じられるものでした。次作の企画書からも感じられる、粘り強く「会話」を積み重ねることへの意思が、実を結ぶことを期待しています。

三田村 啓示