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A級MissingLink 第23回公演
『或いは魂の止まり木』

平成28年7月15日(金)~18日(月・祝)

平成28年
7月15日(金)19:30
7月16
日(土)14:00★/19:00

7月17日(日)11:00★/15:00
7月18日(月・祝)15:00
※受付開始/開演の40分前。開場/開演の30分前。
★終演後、アフタートークあり。
16日(土)14:00の回 水沼健(劇作家・演出家・俳優 壁ノ花
団/MONO)
17日(日)11:00の回 小暮宣雄(京都橘大学 現代ビジネス学部都市環境デザイン学科)


大阪を拠点に精力的な活動を続けているA級MissingLink。2014年に第58回岸田國士戯曲賞にノミネートされ、第21回OMS戯曲賞大賞を受賞した、土橋淳志の『或いは魂の止まり木』を上演。読売演劇大賞優秀演出家賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞してきた実力派・竹内銃一郎が、この劇団の代表作を演出します。

A級MissingLinkは2012年「現代演劇レトロスペクティヴ」にて、竹内銃一郎初期の名作『悲惨な戦争』(2012年)を上演、その後、竹内が書き下ろした新作『Moon guitar』(2014年)を上演するなど、創作活動を通して交流を深めてきました。今回は竹内を演出に迎えて作品を創作することで、劇団の新境地を開きます。

17年前、とある事件をきっかけに父親が失踪した倉田家。一家を巡る過去とありえたかもしれない現実のパラレルワールドから、機能不全を起こす現代の家族を描いた秀作にご期待ください。


チケット
一般 前売3,000円 当日3,300円
シニア 前売2,700円 当日3,000円
学生 前売1,500円 当日1,800円
ペア 5,000円(前売・予約のみ)
【日時指定・自由席】

※シニアは60歳以上
※シニア・学生は要証明書。

下鴨車窓#14 『旅行者』

平成28年8月6日(土)~7日(日)

平成28年
8月6日(土)14:00/19:00
8月7
日(日)14:00

※受付開始・整理券発行/開演の40分前。開場/開演の30分前。


京都を拠点に活動する演劇ユニット、下鴨車窓。主宰の田辺剛は、人間の存在の不確かさや寄る辺なさを描き出す寓話性の強い作品で、高い評価を得ています。『旅行者』は、第14回OMS戯曲賞の佳作を受賞し、再演を繰り返してきた田辺の代表作。遠いふるさとを目指して旅する異邦人の姉妹の物語を通して「故郷」「家族」「法」などにまつわる普遍的な問題を描きます。
2010年には、韓国のウォンジュとソウルで翻訳上演されるなど、海外でも好評を博した本作。初演から10年、日本や世界の情勢が大きく変わる社会の中で、私たちが向き合うべきさまざまな問題を、今あらためて問い直します。


チケット
一般 2,500円
ユース(25歳以下) 1,800円
ペア 4,300円
※ユースは要証明書。
【日時指定・自由席】

虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』

平成28年8月26日(金)~28日(日)

平成28年
8月26日(金)19:00
8月27
日(土)14:00/19:00

8月28日(日)14:00
※当日券販売/開演60分前。
※開場/開演の30分前。


作家・演出家の鴻上尚史が、新進の俳優たちを集めて旗揚げした「虚構の劇団」。社会への閉塞感に風穴を開ける軽やかで疾走感あふれる鴻上作品と、それを全身で引き受ける若き俳優たちの熱気あふれるパフォーマンスで好評を博す彼らが、アイホールに初登場します!

今回は、80年代小劇場ブームで一世を風靡した劇団第三舞台によって上演され、鴻上の代表作の一つとなった『天使は瞳を閉じて』をお送りします。汚染された外部から“透明な壁”に守られながらも、その向こう側に出てみたいと願う人々を描いた群像劇。91年には、ロンドン、エディンバラなど英国公演も行われ、学生劇団を中心に長年、多くの劇団で上演され続けてきた不朽の名作をお見逃しなく。


チケット
一般 4,800円(前売・当日とも)
学生割引チケット 3,000円
※学生割引チケットはチケットぴあのみ取扱い。おひとりさま1枚まで購入可。開演30分前から受付にて指定席券とお引換えいただきます。(要学生証提示)
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。
【全席指定】

A級MissingLink 第24回公演『罪だったり、罰だったり』

平成29年10月6日(金)~9日(月)

平成29年
10月6日(金)19:30
10月7日(土)14:00/19:00
10月8日(日)11:00/15:00
10月9日(月)15:00

受付開始/開演の40分前
開場/開演の30分前


大阪を拠点に精力的な活動を続けているA級MissingLink。第21回OMS戯曲賞大賞を受賞するなど関西の実力派劇作家として活躍する土橋淳志が、ドストエフスキー『罪と罰』を下敷きに2年ぶりの新作を書き下ろします。


チケット/
一般  3,000円 (当日3,300円)
学生  1,500円(当日1,800円)
ペア  5,000円(前売のみ取り扱い)
【日時指定・自由席】

壁ノ花団『水いらずの星』

平成28年9月2日(金)~4日(日)

平成28年
9月2日(金)19:30
9月3
日(土)15:00/19:30★

9月4日(日)15:00
※受付開始/開演の60分前。開場/開演の15分前。
★終演後、ポストパフォーマンストークあり。(出演:水沼健、金替康博、内田淳子)


演出家・劇作家・俳優の水沼健が代表を務める演劇ユニット、壁ノ花団。京都を拠点に活動し、第12回OMS戯曲賞大賞を受賞した『壁ノ花団』、第57回岸田國士戯曲賞の最終候補に選出された『ニューヘアスタイルイズグッド』など、水沼戯曲を中心にこれまで10作品を創作してきました。

11作目となる今回は原点に立ち返り、壁ノ花団を立ち上げるきっかけとなった「羊団」で取り組んだ松田正隆の二人芝居を、2000年の初演と同じ金替康博・内田淳子の出演により再演します。

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女は夫と二人で暮らしていたが、夫の同僚との不倫が原因で別れてしまい、その男と暮らすようになった。しかし二人の暮らしはうまくいかず、今は四国でスナックのホステスをしながら、女は一人アパートに住んでいる。

六年後、女のもとに別れた夫が現れた。とりとめのない世間話から夫が死期の迫った身であることを知るのだった。もしかしてそれは、過去・現在に失望し、えぐるような孤独感にさいなまれる毎日を過ごしている女がつくり出した妄想なのかもしれない。

ある夜、虚実混ぜ合わさった会話が延々と続くなか、降り続ける雨は、部屋を浸しながら男女のとめどない思いとともに激しさを増し・・・。

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『水いらずの星』初演


チケット
一般 前売3,000円 当日3,200円
25歳以下 前売2,300円 当日2,500円
※25歳以下は要証明書
※15歳未満のご入場はご遠慮ください。
【日時指定・全席自由】

劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』インタビュー

choco19月21日・22日に提携公演として登場する劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』の上演に先駆け、劇作を担当した古川健さんと俳優の西尾友樹さんに作品についてお話しいただきました。


■作品について
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古川健

古川:『治天ノ君』は2013年に下北沢の駅前劇場で初演した作品で、大正天皇・嘉仁(よしひと)を主人公に、皇太子時代の青年期からその死までを描いた一代記です。物語は大きく分けて、嘉仁が青年期に明治天皇との軋轢や孤独を経て、天皇として即位し自我を確立するまでの前半と、病に倒れて皇太子(のちの昭和天皇)を摂政に立てるまでの後半から成っています。“治天の君”とは中世の日本史用語で、院政期に天皇家の実権を握った上皇や法皇の呼び名です。この話には、明治・大正・昭和と三人の天皇が登場するのですが、大正・昭和時代にも、明治天皇が呪縛のように大きな影響力を与えるので、このタイトルを付けました。でも、主人公は大正天皇です。松本紀保さん演じる大正天皇妃―貞明皇后節子(さだこ)がストーリーテラーとなり、昭和時代から明治・大正を振り返るといった構造で、回想として語られます。


 なぜ大正天皇を題材にしたのかというと、近代天皇制以降、今上天皇で4人目ですが、そのなかでも今の我々にとっていちばん印象が薄い存在だと思うからです。僕自身、遠眼鏡事件(国会で勅書を丸め、遠眼鏡にして議員席を見渡したとされる事件)や、ちょっと頭が弱かったのではないかという俗説しか知りませんでした。ところが、政治学者の原武史さんが書かれた『大正天皇』(朝日新聞社刊)を読んで、実はそうではなかったと知り、一般的なイメージとは違う大正天皇を主軸にした物語を書いてみたいと思いました。調べていくと、明治天皇のように神秘性を持っていることを理想の天皇像としたときに、大正天皇はそこから外れるような人間性だったという記録が残っています。例えば、皇太子時代、巡啓として全国各地を旅したときに気軽に国民に話しかけてしまったり、昔の同級生の家を突然訪問したり…。そういうエピソードを拾っていくと、とても魅力的な人間味溢れる人だと感じましたし、そういうことが知られていないのはもったいないと思いました。僕は歴史的な事件や人物を題材に作品を書いていますが、決して史実を忠実に再現したいのではありません。生身の人間らしさがふっと浮かびあがってくるエピソードがあれば積極的に取り入れていますが、基本的には創作ですし、描きたいのはchoco5、今の我々とは違う歴史状況のなかで、人間としてどう生きたか、どんな思いを持ち、どんな苦悩があったのかということです。「天皇」という存在は、戦後にこそ“象徴”となりましたが、戦前は“現人神(あらひとがみ)”だったわけです。そういう存在が、ひとりの人間として、立ったり座ったり、人と話をしたり、物事を感じて、悲しんだり喜んだりするさまを描き、それを演劇というナマの表現を使って、役者さんの肉体を通してお客様に届けたいと思っています。


 もうひとつ、「戦前」という時代の流れを描きたいと思いました。我々は明治・大正・昭和前期を「戦前」と一括りでとらえてしまいがちですが、やっぱりそれぞれの時代の特徴があるわけです。明治天皇と昭和天皇に挟まれた大正天皇を取り上げることで、明治から大正、大正から昭和という時代の流れが描けるのではないかと考えました。また、原敬や大隈重信や牧野伸顕といった実在の政治家を登場させることで、各時代の天皇をとりまく政治家たちが、何を考え、どう時代を動かしていったのかを、わかりやすく板の上にのせたいとも思っています。

 

■「天皇」を演じる
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西尾友樹

西尾:大正天皇を演じるんだという気負いはありません。どちらかというと、泣いて、笑って、怒って、身体を悪くしても天皇という位にしがみつこうとする、ひとりの人間を舞台上に引きずり出すんだという思いのほうが強いです。それは明治天皇と昭和天皇を演じる二人も同じです。もともと僕たちの劇団は、イメージで役を演じないということをすごく大事にしていて、目の前にいる人間と会話をし、シーンを重ねて、事件を重ねて、それが歴史に繋がっていくという創り方をしています。だから、皇室の話をするぞとか、タブーに切り込むぞというのではなく、丁寧に丁寧に人間のドラマにしていきたいです。ただ、お辞儀の仕方や手の組み方などの所作にはこだわっています。初演のときに、演出助手が皇室の作法やロイヤルマナーの本を探してきてくれたのですが、それを参考に毎日繰り返し稽古をして、そして、その所作にどこまで気持ちを載せていくか、思いをどれだけ滲み出していくかにトライしています。ちなみにその本には、周りへの気配りを偏らせないよう、意識の飛ばし方は360度ムラなくというのもあるんですけど…、それはさすがに会得できなかったです(笑)。
 先日、平成天皇の生前退位のニュースがありましたが、この物語でも天皇を「やめる」「やめない」「やめろ」「やめるな」みたいな話が繰り広げられています。天皇って、文化や平和の象徴であって、かつ国の威信の象徴でもありますよね。だから「やめます」といって簡単にやめられるものでもない。物語の後半、嘉仁が髄膜炎という重い病気を患い、肢体不自由になって言語も危うくなり、記憶も飛び飛びになっていきます。それでも天皇という位にこだわる姿を演じてみて、きっと苦しんでいらっしゃったのだろうなと思います。

 

古川:史実として、大正天皇は晩年、皇太子(のちの昭和天皇)を摂政に立て、実権をすべて譲って引退します。ただ、そこに大正天皇の意思は無かったのではないかという学説があり、今回はそれを参考にしました。そうした葛藤を描くことで、彼の「天皇」という存在に対する思いや、運命に対してどう生きたのかという生き様が浮かび上がってくるのではないかと思っています。


西尾:病気の症状が、大正天皇自身に実際どのように出たのかはわかりません。だから、病気のことを調べ、こういう症状が出たら身体の半分はこうなる、歩き方はこうなる、喋り方はこのぐらい不自由になるというのをなるべくリアルにやりました。カタチを細かく決めて、不自由になってもここまでは立っていられる、座っていられる、歌うことができるという状態を、今回も嘘つくことなくやりたいと思っています。


古川:僕は、西尾くんの俳優としていちばん好きなところは再現性とこだわりです。キャスティングは演出の日澤に一任しているのですが、書いているときから大正天皇は彼にやってもらいたいと思っていました。病んでからの身体的な表現も西尾くんならごまかすことなく真正面からやってくれるだろうと思いましたし、逆に、青年期の颯爽としたところとの演じ分けも、彼なら信頼して託せると思いました。


西尾:僕自身は芸の幅が広いわけではないので、素直に相手役とどう繋がっていくのかを考えています。正直、最初に台本を読んだとき、どういう物語なのか掴みあぐねました。皇室の話だから、事件も起きないし、犯人もいない。でも、稽古をしていくと、この人のことを慕っているからこういう会話をするんだとか、怒られているけどこれは愛なんだなとか、そういう関係性がみえてきました。ただ、役者が立ち上げないとみえてこない関係性もあって…、難しい本だと思います。例えば、登場する政治家は本音を言わないから、そういう人間が大正天皇の周りを固めると、本当に天皇のことを慕ってくれているのか疑念が湧くんです。そういうところは古川さんに、政治家も思惑があるから天皇の前でそう発言するんだと教えていただき、繋がるように細かいところは埋めていきました。

 

■再演にむけての見どころ

古川:再演にあたり、改稿しようと読み直したのですが、ここを変えるとあそこも変えなきゃいけないとなってしまって…、結局このバランスを保ったままのほうがいいと判断し、初演からほぼ手を加えずに、あとは演出に委ねています。僕はもともと、長く書いてしまうタイプでして、この作品の初稿もそのまま上演すると3時間半ぐらいあったんです。初演のときは、稽古場でそれを三分の一ほど切ってもらい、2時間ぐらいになりました。カットしたり残したりする作業は僕が作家としてやるよりも、演出家が現場をみながら塩梅をとったほうが絶対によくなるだろうと思い、日澤に任せました。だから上演されたものをみると、僕の作品ではあるんですが、稽古場で演出家と現場の作業を経ていますので、僕一人だけのものとは言い難くもあります(笑)。


西尾:日澤さんの演出は、台本を切ることは情報量を減らすことではない、切った部分は役者が表現してくれという考えなので、初演でもカットした部分は役作りに活かしました。今回も、演出は、古川さんが初演から変えないと言った時点で、それでいくというスタンスをとったので、大きな変更はないです。ただ、初演よりも人間関係の見つめ方をもっともっときつく、煮詰まった作品にしようとは言っています。


古川:大正天皇と皇后節子の夫婦愛もこの物語の柱の一つです。今回も皇后節子を松本紀保さんにお願いしたのですが、本当に、皇室の方にしかみえないような高貴さがあります。そこはぜひとも劇場でみていただきたいです。


西尾:貞明皇后節子について書かれた本に、大正天皇の記述があるんです。例えば結婚式のときのエピソードで、緊張している節子のところに嘉仁が現れて、「すごく退屈だね、これあと何日続くんだろう」と話しかけてきて、それで節子さんの気持ちがすごく楽になったとか。紀保さんと、「こういう関係性、面白いですね」という話をしました。身体の悪い天皇と寄り添っている妻というより、そういう小さなエピソードを拾って拾ってつなぎ合わせて膨らませて、皇族というのではなく、どこにでもいる夫婦の姿をつくれたらと思っています。

 

■劇団について

古川:劇団チョコレートケーキは、俳優の近藤芳正さんのユニット「バンダ・ラ・コンチャン」と合同公演を今年1月に富田林市のすばるホールで行ったのですが、劇団単独での関西公演は今回が初めてです。僕たちは駒澤大学の劇研仲間が母体となって2000年に旗揚げした劇団です。旗揚げ当初は僕も演出の日澤も役者をしていました。ところが座付きの作・演出家がやめてしまい、誰かが書かなくちゃいけない状況になり、仕方なく僕が書くことになりました。最初はオムニバスの現代口語劇や、宮沢賢治をモチーフにしたものを書いていたんですが、もともとそういう状況で書き始めたので、どちらかというと書くのは好きじゃない(笑)。それで、自分の好きな歴史を題材にしたら、この苦しい作業が少しは楽になるんじゃないだろうかと思い、浅間山荘事件をモチーフにした作品を書いたところ、仲間内の評価もよくて、お客様も喜んでくださったので、じゃあこの路線でやらしてもらおうと今の作風になりました。ちなみに一度だけ演出もやったのですが全然うまくいかなくて…。それで見るに見かねた日澤が名乗り出てくれて、2010年ごろから作・演出を分けた今のスタイルに落ち着きました。劇団員は現在、俳優3名、作家、演出家、制作の計6名。良く言えば少数精鋭、悪く言えば零細、非常にミニマムな劇団です。


西尾:僕は大阪府出身で、大学進学を機に東京に出ました。何作品か客演として出させていただいたのち、劇団員になりました。僕たち、今でも諸先輩方から劇団名を変えたらとよく言われるんです。甘ったるい劇団名なのに、ヒトラーとかサラエボ事件を取り扱うなど、作品の内容がかなり尖っているからでしょうね。


古川:劇団名には、誰からも好かれるような劇団でありたいという願いが込められているんです。チョコレートケーキを嫌いな人ってあまりいないですよね。甘いものが苦手な僕も、チョコレートケーキだけはおいしく食べることができるので(笑)。

 

■ツアーのこと

古川:ありがたいことに、『治天ノ君』を再演してほしいという声をいただき、僕たちもどこかのタイミングでやりたいと思っていました。今、トム・プロジェクトという事務所に劇団ごと所属しておりまして、力を貸していただき今回のような大規模なツアーになりました。演劇をやっている以上は、全国各地でいろんなお客様に出会いたいですし、精一杯良質な演劇をつくり、できる限りいろんな場所で公演して演劇という表現を知ってもらうことが、我々が“演劇”にできる貢献だと思っています。今回はその第一歩なので、ものすごく楽しみです。
 ロシア公演は、昨年亡くなられた劇評家の村井健さんがきっかけです。日露演劇会議などを通して日本とロシアの演劇交流に尽力された方で、『熱狂』を観にきてくださって以来、すごく気に入ってくださいまして、向こうでも僕たちの劇団のことを話題にしてくださっていたようです。それで、先方から追悼公演のようなかたちで来てほしいとお声をかけていただきまして。ただ、うちの劇団単独では渡航費等は出せなくて…。それで、トム・プロジェクトさんと相談し、助成金をいただき、日露演劇会議の方にコーディネートをお願いしまして、オムスクも含めロシア3都市公演が実現しました。


西尾:題材が天皇だったので、僕たちもデリケートになっていたんですけど、初演のとき、東京ではすんなりと受け入れられたんです。この物語は、天皇の話というより天皇“家”の話で、家族の物語という側面も多いのですが、そもそも皇室を扱うことについて、他地域では褒められるのか怒られるのか…。実は昔、地方公演で上演中にヤジをとばされた経験があって。ただ、賛同だけでなく、手痛いものも含めて、いろんな反応を楽しみにしていますし、何を言ってくれてもいい、石投げてくれてもいいというぐらい強度のあるものを僕たちも作らないといけないと思っています。その観客の受取り方も含めて演劇という文化なんだといえるような作品にしたいです。


古川:演劇は、TVや映画と比べるといい意味で題材を自由に選べますし、それが小劇場のメリットだと思います。何かに囚われて天皇について書けないのではなく、むしろそのタブーに踏み込むことで、面白いお芝居がつくれたら、それはすごいことなんじゃないかと思っています。やっている側はこわごわですけど(笑)。今回、題材はチャレンジしましたが、話の核にある感情は、親子の愛だったり夫婦の愛だったり、どこにでも転がっているような、ありきたりな、でもとても大事なことであったりします。だから、題材を超えたところで、そういったことへの共感を、それぞれの公演地で―それはロシアでも(笑)―、勝ち取っていけたらと思っています。 


【提携公演】
劇団チョコレートケーキ
第27回公演
『治天ノ君』
作:古川健 演出:日澤雄介

 

平成28年
9月21日(水)19:00
9月22日(木・祝)14:00
公演詳細

現代演劇レトロスペクティヴ<特別企画>
AI・HALL+生田萬『夜の子供2 やさしいおじさん』

平成28年9月15日(木)~19日(月・祝)

平成28年
9月15日(木)19:00
9月16
日(金)19:00
9月17日(土)14:00/19:00
9月18日(日)14:00★
9月19日(月・祝)14:00

※受付開始/開演の60分前。開場/開演の30分前。
★終演後、シアタートークあり。

シアタートーク出演者
生田萬、蟷螂襲(PM/飛ぶ教室)、岩崎正裕(劇団太陽族)、
高橋恵(虚空旅団)


時代を画した現代演劇作品を、関西を中心に活躍する演劇人によって上演する「現代演劇レトロスペクティヴ」。今回は<特別企画>として、80年代小劇場ブームを牽引した生田萬がアイホールとタッグを組み、自身の作品『夜の子供2 やさしいおじさん』の新演出に挑みます! バブル崩壊期に書かれ、ニジッセイキの陰画ともいえる静謐な絶望感を湛えた、現実と空想が入り混じるメタシアトリカルな世界がいま、蘇ります。


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「この劇は、追憶の世界である。
ただし、この劇にあっては、追憶はマンガと同義語である。追憶もマンガも同じように現実的ではないから、というのではない。ここでいう追憶とは、現実の意識にともなっていつも新しく生まれかわるようなものであり、それは肌身離さず持ち歩けるポケット・サイズのファンタズムなのである」

          ―『夜の子供2』(白水社)まえがきより

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世紀末の大晦日、ひとりの少女マンガ家がニジッセイキ最後のマンガを描いている。彼女によって追憶されるのは、奇しくも≪東京オリンピック≫を目前に控えた夏の日のある出来事だった・・・。

※虚空文庫にて戯曲公開中【コチラ】
観劇前に是非、ご確認ください

チケット
一般 前売3,000円 当日3,500円
学生 前売2,500円 当日3,000円
【日時指定・整理番号付自由席】
※入場は、前売券(事前精算)→前売予約券(当日精算)→当日券の順になります。(当日精算の方は、来場順でご案内いたします。)
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。

主催/公益財団法人伊丹市文化振興財団・伊丹市

企画製作/伊丹市立演劇ホール

文化庁平成28年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

 


これまでの現代演劇レトロスペクティヴ

平成27年度

PM/飛ぶ教室『とりあえず、ボレロ』
エイチエムピー・シアターカンパニー『阿部定の犬』

平成26年度sunday『友達』
壁ノ花団『そよそよ族の叛乱』/td>
平成25年度桃園会『少女仮面』
焚火の事務所『幼児たちの後の祭り』
劇団太陽族『血は立ったまま眠っている』
平成24年度<北村想の座標/現在>
『この恋や思いきるべきさくらんぼ』
AI・HALL+DIVE共同製作『オダサク、わが友』
平成23年度下鴨車窓『小町風伝』
ニットキャップシアター『さらば箱舟』
A級MissingLink『悲惨な戦争』
平成22年度劇団Ugly duckling『ゲゲゲのげ』
遊劇体『縄文人にあいういう』
売込隊ビームプロデュース『アイスクリームマン』
平成21年度虚空旅団『学習図鑑』
極東退屈道場+水の会『家、世の果ての……』
空の驛舎『エリアンの手記』

劇団チョコレートケーキ 第27回公演
『治天ノ君』

平成28年9月21日(水)・22日(木・祝)

平成28年
9月21日(水)19:00 
9月22日(木・祝)14:00
※整理券配布/開演の60分前。開場/開演の30分前。
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。

 2015年に第49回紀伊國屋演劇賞団体賞も受賞した新進気鋭の劇団「チョコレートケーキ」が、代表作『治天ノ君』でアイホール初登場。緻密な調査に基づいて練り出される劇作・古川健のハードな台詞表現に加え、純度の高い人間関係を表出させる日澤雄介の演出により、硬質ながらも生々しい“人間ドラマ”を展開します。
■■■■■
激動の明治・昭和に挟まれた「大正時代」。
そこに君臨していた男の記憶は現代からは既に遠い。
“暗君”であったと語られる悲劇の帝王、大正天皇嘉仁よしひと
しかし、その僅かな足跡は、人間らしい苦悩と喜びの交じり合った生涯が確かにそこにあったことを物語る。
明治天皇の唯一の皇子でありながら、
家族的な愛情に恵まれなかった少年時代。
父との軋轢を乗り越え、自我を確立した皇太子時代。
そして帝王としてあまりに寂しいその引退とその死。
今や語られることのない、
忘れられた天皇のその人生、その愛とは?
■■■■■
2013年初演。
2014年に第21回読売演劇大賞・選考委員特別賞を受賞。
同賞の優秀男優賞(西尾友樹)、優秀女優賞(松本紀保)、優秀演出家賞(日澤雄介)にも選ばれた話題作が、待望の再演です。 

チケット/
一般前売 3,000円
学生前売 2,000円
当日(一般・学生とも) 3,500円
【日時指定・自由席】
 

KUDAN Project『くだんの件』関連企画
天野天街による演劇ワークショップ

平成28年10月5日(水)

平成28年
10月5日(水) 16:00~21:00

※途中休憩あり
※入室は30分前より。開始10分前までには会場にお越しください。
※事前に短いテキストを覚えていただきます。


名古屋を拠点に活動する作・演出の天野天街(少年王者舘)さんのワークショップを関西で初めて開催します。
演劇、人形劇、コンサートなどの舞台芸術は言うに及ばず、映像、イラスト、デザインワークの分野でもその才能を遺憾なく発揮し続ける天野天街。一つのイメージを果てしなく増殖させ、その果てにさらなる大きなイメージを結実させる独自の作品世界は、日本演劇史に新しい系譜を作り出すとともに、国内外で常に高い評価を得ています。今回、『くだんの件』で天野作品に出演される俳優の小熊ヒデジさんも迎え、より濃密な時間を過ごしていただきます。
このワークショップで、“AMANO World” に触れてみませんか。

 

会場/
アイホール  カルチャールームA(2階)

対象/
18才以上(高校生不可)。経験不問。

定員/
15名(抽選)
※抽選結果は【申込完了メール】でお知らせする「申込番号」で、9月28日(水)に申込者本人に確認いただきます。
※参加決定者には、後日テキストをメールでお送りします。

料金/
3,000円
※参加当日にお支払い。


いくつかのTEXTをタタキ台にして、約五時間かけて「いくつかのなにか」を作っていきます。その「なにか」は、集(つど)った有機生命体同志の化学反応シダイで如何(どう)にでもなっていくことでしょう。そこにおいて「アナタ」と「ワタシ」、「ワタシ」と「セカイ」等の境界がアイマイになっていく過程がタノシメたなら幸いです。

アマノテンガイ

KUDAN Project『くだんの件』
平成28年11月11日(金)~13日(日) 詳細はこちら


主催/公益財団法人伊丹市文化振興財団・伊丹市
平成28年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

劇団四次元STAGE『キル』

平成28年10月8日(土)~9日(日)

平成28年
10月8日(土) 18:30
10月9日(日) 12:00★/17:00
※受付開始/開演の30分前。
※開場/開演の15分前。
★アクセシビリティ公演

チケット/
前売2,000円
当日2,500円
【自由席】
※受付開始時より先着順に整理券を発行。

アクセシビリティ公演

-より多くの方にお芝居を楽しんでいただきたいという想いから企画

10月9日(日)12:00

■この回のみ10歳未満入場可。
※座席が必要な場合はチケットが必要です。
※10歳未満入場可ではありますが、内容は子供向けではありません。保護者の方が判断されたうえで観劇をお楽しみください。
■日本語字幕あり。聴覚障害をお持ちの方にも楽しんでいただけます。

チケット/
前売1,600円
当日2,100円

 

 

土曜日のワークショップ『昔話でお芝居をつくってみよう』

平成28年8月13日(土)~10月8日(土)

平成28年
8月13日(土)
9月3日(土)
10月8日(土)
各回10:00~12:00 ≪全3回≫


伊丹の民話を題材にした短いお芝居づくりに挑戦! ピアニカやタンバリンなど、誰でも一度は触ったことのある楽器を使って、効果音を盛り込みながら創作します。
初めての方も大歓迎。みんなで楽しくお芝居を“かじって”みませんか。


会場/
アイホール カルチャールームA(2階)

対象/
小学4年生以上

定員/
15名程度(先着順)

受講料/
全回受講:1,500円
※初回時納入。一旦納入した受講料は返金できません。ご了承ください。
1回ずつの単発受講:600円


主催/公益財団法人伊丹市文化振興財団・伊丹市

平成28年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

『イタミ・ノート』ごまのはえインタビュー

0「地域とつくる舞台」シリーズ アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクト『イタミ・ノート』について、本プロジェクトの構成・演出を手がけた、ごまのはえさんにお話しいただきました。

 

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■アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクトについて

 このプロジェクトは、「写真」という媒体から伊丹という地域の歴史や人の記憶を紐解き、それを一つのお芝居に創り上げるという企画で、三年計画で昨年度(平成27年度)から始動しました。

ごまのはえ
ごまのはえ

 一年目は、市民から写真とそれにまつわるエピソードを集めるところから始め、茶話会を開催し、写真提供者から直接、写真のエピソードや昔の伊丹についてインタビューをしてきました。そのなかから、興味のあった、記憶に残ったものをピックアッ プし、ラスタホール(伊丹市立生涯学習センター)伊丹市立図書館ことば蔵で、写真&エピソード展を開催しました。

 二年目の今年は、「写真と演劇」をテーマに、一年目で集めた写真とエピソードをもとに台本を書き、短いお芝居をアイホールで上演します。ロビーでは写真展を常時開催し、定刻がくるとホール内でパフォーマンスが始まります。舞台上にも役者が演じるスペースの他に、写真を映し出す大きいスクリーンがあって、芝居に合わせて写真を投影、もしくは、写真に合わせて芝居をするといった感じです。例えば、役者がカメラのシャッターを押す演技をしたら、スクリーンにその話に沿った写真が出てくるといった感じで、演劇と写真をミックスさせています。

 三年目は、プロジェクトの集大成として一本のお芝居を上演します。

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― 一年目の茶話会にて ―

茶話会の様子
茶話会の様子

 茶話会を前にして、どんな写真があつまるか楽しみにしていました。茶話会では、写真と持ち主であるご本人と一緒に対面し、ご本人から写真にまつわるエピソードを聞いて、何気ない話にも色々な歴史や思い出の深さが感じられました。また「家族」としてちゃんと写真を残しているということにとても感心しました。他にも、結婚して伊丹に来た時の話や、同居していたお姑さんに対するグチなど今だから言えることを、写真を見ながら話してくださいました。家の歴史が写真によって、きちんと整理されていて、とてもわかりやすかったです。

 

 2回目の茶話会では、90才くらいの男性がたくさん写真を持ってきてくださいました 。この方が持ってきた写真は、風景が多く、特に印象的だったのが、今回の作品のひとつにもなった、阪神大震災直後の街の様子や、倒壊した阪急伊丹駅や猪名野神社の境内などの写真をたくさんお撮りになっていたことです。口数も少ない方だったので、2時間あった茶話会の終わりかけくらいにやっと口を開いてくれて、自分が8人兄弟の長男であることやご健在である兄弟の話、会社勤めしていた頃のことや、自治会長をしていた頃のことなど、プライベートな話も伺うことができました。この茶話会で生まれた作品が『崩れた灯籠、瓦礫の境内』 です。

 

― 立ち話から生まれた作品 ―

ラスタホールでの展示
ラスタホールでの展示(2016年3月)

 写真展最初の会場となったラスタホールの展示では、昭和40年代に撮影された写真を観ながら、「これは万博(大阪万国博覧会)の頃やな。この時な、国道171号線に象が来てな~」とおっしゃるおじさんが来られました。展示を観ていたら、思い出したんでしょうね。この方は、「伊丹では、そりゃ、有名な話やで」と言って帰られたのですが、また別の年配の方が来館されたので、象の話を伺ってみたところ、ご存知で、なんと、写真まで持っておられたんです(笑)。早速、翌日写真を持ってきてくださり、立ち話ですが、お話を伺うことができました。タイから神戸港についた象が疲れて、武庫川で休憩していたとか、「象が来たッいうて、飛んで 見に行った」など、聞いているこっちも興奮してしまうぐらいのパワーで話してくださいました。この象の話は、とても面白いなと思い、『国道171号線を行く象』という作品をつくりました。

 2回目の会場のことば蔵では、「昔はこんなんやった」と話をしてくれたユニークなおじいさんが来られました。当時12才の少年だった戦争中に、猪名野神社の防空壕に逃げ込んで怖い思いをした話や、アメリカ軍の兵隊がやってきたことなど、戦中から戦後まもない伊丹の様子を話してくださいました。この方は、ことば蔵の展示期間中、毎日のように来てくださって、1日目はぼくが3回、2日目はことば蔵の外で、3日目はスタッフが聞いて…。何回この話聞いたんでしょうねっていうくらい(笑)。くり返し、くり返し話されるので、落語みたいで面白かったです。

 

■『イタミ・ノート』について

 こうして、市民との茶話会や立ち話から、全部で六本の短編作品をつくることができました。

 Aプログラムは「家族編」、Bプログラムは「街並み編」として、それぞれ、3作品ずつあります。Aプログラムの一番目は、戦後、伊丹の昆陽(こや)で、ある商店を開かれた方とその家族の話。二番目が、国道171号線沿いに住んでいる家族が象の行進と出会う話。三番目は、’80年代の頃の少年野球の話です。これは、古い写真が多くなって、現在に近い‘80年代の写真がごそっと抜けていたのですが、この頃の話が書きたくてやや強引につくったお話です(笑)。伊丹は、読売ジャイアンツの坂本勇人さんや、メジャーリーグで活躍している田中将大さんなどの有名選手を生み出している少年野球の盛んな街ですし。

itami-note1 Bプログラムの一つ目は、茶話会から生まれた作品のひとつで、宮ノ前にお住まいの男性の話で、’95年の阪神大震災直後の街の様子を写真におさめておられた時の話です。一人の役者がこの男性になり代わって、カメラ片手に写真を撮り、シャッター音に合わせてスクリーンに写真が投影されるといった演出です。二つ目は、この企画を進めて行くなかで知ったのですが、伊丹が震災を境にして街並みがずいぶん変わったそうです。アイホール周辺も昔は古い住宅が多かったのに、今や高層マンションがあちらこちらに建っています。その新しく建ったマンションに引っ越してきた住人と、昔から住んでいる方との交流や行き違いを描いた作品です。最後が、昨年のことば蔵の展示で出会ったおじさんの話です。これも一人の役者がこの方を演じます。戦中、戦後の伊丹のことがたくさん出てくるお話しです。

 

― 『イタミ・ノート』の見どころと三年目への意気込み ―

 一年目の茶話会と写真展を通じて、普段、出会うことのない年代の方とゆっくりお話を伺うことができたことは、ぼく自身とても有意義でした。以前つくった作品で『ヒラカタ・ノート』がありますが、これは、大阪府枚方市がぼくの地元だったので、自分の独断で創作することができました。今回の『イタミ・ノート』は、「伊丹のことを知る」というところからつくった作品なので、お客さんの反応が楽しみです。両プログラム、それぞれ50分ほどで、一作品約10~15分ほどのショートストーリーで構成しています。生演奏もあり、笑いもありなので、初めて演劇を観る方でも身構えずに、気軽に観てもらえたらと思います。

 三年目は、いま探りつつあるのですが、主にAプログラム2話目の「象の話」をメインに掘り下げていこうかなと考えています。が、まずは、今年のプロジェクト二年目を観ていただけたらと思っています。地元の方はもちろん、そうでない方にも楽しんでもらえる作品ですので、ぜひ、みなさんのご来場をお待ちしております!

 


 

「地域とつくる舞台」シリーズ
アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクト
『イタミ・ノート』

平成28年10月14日(金)~16日(日)

平成28年
10月14日(金) 14:00~21:30
10月15日(土) 10:00~21:30
10月16日(日) 10:00~17:30
※入場/終了30分前まで

■パフォーマンス

平成28年 
10月14日(金)15:00[A]/16:30[B]/19:00[A]/20:30[B]
10月15日(土)11:00[A]/12:30[B]/15:00[A]/16:30[B]
19:00[A]/20:30[B]
10月16日(日) 11:00[A]/12:30[B]/15:00[A]/16:30[B]

Aプログラム=<家族編>『昆陽池から来たヘビ』、『国道171号線を行く象』、『天神川ホエールズの補欠たち』(上演時間/約50分)
Bプログラム=<街並み編>『崩れた灯篭、瓦礫の境内』、『カエルの居場所~震災後の街並み』、『尼宝線と防空壕とチューインガム』(上演時間/約50分)

 

「写真」と「演劇」で見る、伊丹の今と昔

三年間かけて伊丹の歴史と記憶を紐解き、演劇作品を創作する「伊丹の物語」プロジェクト。二年目となる今年は、劇作家・演出家のごまのはえが、市民から公募した伊丹の写真とそれにまつわるエピソードをもとに掌編作品を執筆。
猪名野神社の防空壕、国道171号線を行進する象、阪神大震災で倒壊した阪急伊丹駅、そして、‘80年代の少年野球の話など・・・。わが街“伊丹”に起こったあれこれを短いお芝居にしました。スクリーンに映し出された写真を背景に、7人の俳優が「地域の記憶」をリアルに演じます。写真と演劇で見る「伊丹の今と昔」をどうぞお楽しみに。

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入館料
一般 1,000円
65歳以上 800円
学生 500円
※65歳以上、学生券の方は、当日受付にて証明書を提示

 ◆プレ写真展『イタミ・ノートのもと
『イタミ・ノート』で使用する写真の一部を展示します。

9月12日(月)~16日(金)9:00~17:30
 伊丹市役所 本庁舎1階 正面玄関ロビー(伊丹市千僧1-1)

9月29日(木)~10月2日(日)10:00~18:00 ※入館は17:30まで
 伊丹市立伊丹郷町館 旧岡田家住宅酒蔵(伊丹市宮ノ前2-5-38)

【入場無料】


ごまのはえgoma

1977年生まれ、大阪府枚方市出身。劇作家・演出家・俳優。‘99年、ニットキャップシアターを旗揚げ。京都を拠点に日本各地で活動を続けている。‘04年に『愛のテール』で第11回OMS戯曲賞大賞を、‘05年に『ヒラカタ・ノート』で第12回OMS戯曲賞特別賞を連続受賞。‘07年に京都府立芸術会館の『競作・チェーホフ』で最優秀演出家賞を受賞。


主催/公益財団法人伊丹市文化振興財団・伊丹市
助成/一般財団法人地域創造
企画製作/伊丹市立演劇ホール

平成28年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業

本若
第十弐回本公演
『龍栖に咲く~霧ケ城恋歌~』

平成29年6月30日(金)~7月3日(月)

平成29年
6月30日(金) 19:30
7月1日(土) 13:00/17:30★
7月2日(日) 12:30/17:00★
7月3日(月) 15:30

※★の回はアフターイベントを開催。
※受付開始/開演の45分前。開場/開演の30分前。

 

チケット/
一般:前売3,200円(当日3,500円)
U-22(22歳以下):前売・当日共2,800円(要証明書)
小学生以下:前売・当日共1,500円
【日時指定・全席自由】

★期間限定!早期購入特典あり★
早割りチケット:2,500円(代金振込)
※早割取扱期間:5月1日(月)~20日(土)23:59まで。

清流劇場『オイディプス王』

平成29年3月9日(木)~12日(日)

平成29年
3月9日(木) 19:00
3月10日(金)19:00
3月11日(土) 15:00★
3月12日(日) 15:00

※受付・整理券配布/開演の60分前。
※開場/開演の30分前。
★終演後、アフタートークあり。
ゲスト:丹下和彦(大阪市立大学名誉教授・古代ギリシア文学者)
    キタモトマサヤ(演出家・遊劇体主宰)
    正木喜勝(演劇研究・学芸員)
司会 :田中孝弥(清流劇場代表)


近年、海外戯曲の翻訳上演に取り組んでいる清流劇場。今回は、ソポクレスによって書かれたギリシャ悲劇の最高傑作『オイディプス王』をお送りします。

緻密な構成とスリリングな展開、「父殺し」「母子相姦」などの題材が盛り込まれた本作は、古今東西の物語のルーツとなっており、世界中で上演され続けています。
私たちは運命にあらがい、向き合うことができるのか。「自分探し」を続け、厳しい宿命を引き受けて生きていくオイディプスの姿を通して、人間の変わらぬ普遍性を浮き彫りにしていきます。

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チケット
一般 3,500円(当日3,800円)
22歳以下 1,900円(前売・当日とも)
ペア 6,400円(前売のみ)
【日時指定・自由席】

※22歳以下は要証明書。
※小学生以下のお客様はご入場になれません。
※作品上演中のご入場は制限させていただく場合がございます。

当日精算券のお客様は、あらかじめお名前とご来場日時・人数をinfo@seiryu-theater.jpにお知らせください。ご連絡がない場合は開演10分前からのご入場となります。

 

『季節のない街』山田うんインタビュー

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アイホールでは、平成29年3月18日・19日に共催公演として、Co.山田うん『季節のない街』を上演します。黒澤明監督の『どですかでん』と、その原作である山本周五郎の『季節のない街』にインスピレーションを得て創作された作品の再演について、主宰の山田うんさんにお話を伺いました。



■『季節のない街』について

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山田うん


『季節のない街』は、2012年に世田谷パブリックシアターのシアタートラムで初演した作品で、関西では初上演になります。
黒澤明監督の『どですかでん』を観て、原作である山本周五郎の小説『季節のない街』も読んで、戦後の日本に出来上がった、貧民街の暮らしと、労働と生活の中の絶望や希望、複雑な人間心理を不思議な情景で描かれている両作品からインスピレーションを得て創作しました。登場人物はみんなどうしようもない人ばっかりで、誰の子かわからないけど産んじゃった子供が6人いるとか、キャラクターを突き詰めれば突き詰めるほどカオスというか、理想と現実を埋められない、その埋められない中で不器用にしか生きていけなくて、すごく情けない、人間臭さがいっぱい詰まった山本周五郎の独特の世界です。これを物語に一本化しないで、たくさんのエピソードが同じ時間軸にあって、街に隠れた暮らしがさらされていくのが、この『季節のない街』の面白さなので、言葉がなくごちゃごちゃしたままでも成立できてしまうダンス作品が、ふさわしいんじゃないかという気がしています。
この作品は、最近のカンパニーレパートリーの中ではとても珍しいタイプです。前回、アイホールで上演した『春の祭典』はいわゆる舞踊作品としてエネルギッシュにダンスを踊るものですが、この『季節のない街』は踊るシーンももちろんあるんですけれども、言葉が充分にあるわけじゃないのに、物語を彷彿させる情景、状況の舞台で、踊りでは埋められないような感情などが、声や小さな言葉やジェスチャーとか、そういったいろいろな表情をもって展開していく異色作です。『春の祭典』はテンションが高すぎて辛いっていう人には、対照的な作品で楽しんでもらえると思います(笑)。
初演の創作は、スタジオをみんなの家や街みたいにして、即興でどんどんといろんなシーンを提案していきました。私だけのディレクションではなくて、ダンサーたちが進んでいろんなことをやって、泣いたり、わめいたり、笑ったりしながら、時には本当にケンカしたり、挫折したり、骨折したりしながら(笑)、家族なのか町内会なのかわからないような、みんなで共同生活するようにして作った、とても人間臭い作品です。
初演では演劇をされている方からも非常に評判がよかったので、普段、演劇を観ている方にもぜひ観ていただきたいなって思いますし、ダンスが身近に感じられるかもしれないです。演劇と同じように迫力があるんですけれど、迫力の種類が違うというか、観ていてザワザワすると思います(笑)。



■マレーシアのダンサー


アイホール公演の出演者は14名。男性が8名で、女性が私を入れて6名の編成です。その中でマレーシアの男性ダンサーが2名います。彼らは20代でとても若いダンサーなんですが、マレーシアはもちろん、中国、インド、タイといった、たくさんの国の伝統舞踊を踊ることができます。日本人とはかけ離れた身体能力とセンスを持ったダンサーで、異色のキャストとして活躍してくれています。
un-28-03音楽はベートーヴェンの交響曲第九番を使っているんですけど、マレーシアのダンサーたちから「なぜこのような作品の中で、こんなハイクラスの音楽を使うんですか?」と質問されました。私はそれに対して、もともと“第九”はドイツの音楽で、それを庶民に対しても紹介していこうという活動の一環として日本に渡ってきたという歴史から、ハイクラスとロークラスのギャップが作品に非常に必要なのでこの音楽を選択した、と解説したんです。これは初演の時には説明をしていなくて、今回聞かれたことで、ダンサーたちに選曲の理由、意図を話すきっかけになりました。日本人ダンサーたちは「“第九”って何?」という質問を想像してなかったと思うんです。初演では気づかなかった表現の仕方やテクニックをみんなが発見して、改めて振付の意図とか、深いところを押さえてくれている、初演では辿り着けなかった場所へ行こうとしてる、終始、そういう現場です。大きく振付が変わったところはないですが、「そういうことだったらこうも踊れるんじゃない?」とか「こんなふうに作り変えられるんじゃない?」ということで振付も前回より面白い構成を観ていただけると思います。



■季節が「ない」ということ


un-yamada_2017みんなが稽古場に冬物のセーターや、浮き輪や水着など、春夏秋冬のいろんなグッズを持ってきて、「季節がないから全部ごちゃまぜだね」と言っていたんですけど、マレーシアには季節が夏しかないので、「季節が四つもあるよね」と言われて…。「ない」っていうことを彼らとシェアすることがすごく大変で、みんなが混乱してしまい、季節をシェアするだけでも結構時間がかかってしまいました。今の若いダンサーたちがこういったことに改めて知って、話をしていく過程っていうのは傍から見ていてもすごく面白いんです。自分たちの当たり前がすごくレアだということがどんどん暴かれていくと思うんですよね。それを身体で結び付けて、想像を働かせて行動するようなことにどんどんつながっていくといいなと思っていて、今回、日々の生活の中で若いダンサーたちがマレーシアのダンサーたちとのやりとりで驚いていることに対して、もっと驚けることに気づき、出会ってほしいと思います。もちろん私自身改めて私たち日本人にしか通じない常識が多いということがわかりました。今もマレーシア人と日本人でシェアしていない常識やいろんなことを話し合ったり、意見をぶつけ合いながら創作をしている段階です。



■舞台美術・衣装について


初演の時は東日本大震災の後だったいうこともあって、美術家を迎えるということが、心理的に出来ませんでした。物が流されて壊れてなくなったので、新しいものを買うっていうことがみんなできなかった。東京は実際の被害よりも心理的なダメージの方が大きくて、何を大切にしたらいいんだろうっていうことを振り返る一年だったんですよね。私よりむしろ若いダンサーたちがそういう心境になっていました。なので、家の中にいっぱいあって、男女関係なく、夏でも冬でもオールシーズン着ていられる、季節がない服と言ったら「デニムかな」ということで衣装は家にあった履かないジーンズをリメイクして作りました。
美術も、家にあるずっと捨てられなかったような時計や、ちょっと練習したけど諦めちゃったトランペットだったり、ずっと弾いてなかったハーモニカだったり、解体している家からいらなくなったドアをいただいたり、そういった家の温もりや記憶のある物を舞台にあげていました。
今回は初演から五年経って新しい要素を「街」に入れたいな、と思って美術家の藤浩志さん、そしてファッションデザイナーの村上亮太さんに「街」のデザインをお願いしています。初演ともっとも異なる点が美術ですね。藤浩志さんは百円ショップで売っているものだったり、身近なプラスチックのゴミだったり、誰もが手にしたことのある物のマテリアルで、とてもダイナミックな作品を作られる美術家で、今回もポテトチップスの袋を使って美術を作られています。そのポテトチップスの袋が壁紙のように飾られていますが、もしかしたら最後までそれがポテトチップスの袋とは気がつかない方もいらっしゃるかもしれませんね。



■カラフルな黒


un-28-01『どですかでん』は黒澤明監督の初のカラー作品なので、色というのはすごく大事で、ダンサーの衣装はデニムなのでカラフルなわけではないんですが、「生きている色」って言ったら変なんですけど、内面に入っていない色みたいなものが、劇場の空間にあるっていうイメージで舞台を作っています。まあ映画の色って独特で、あの色は舞台では出せないですけど、でもなんか古いような、すごくカラフルだったんだけど陽に当たって焼けちゃったような、何とも言えないその色に近いものを前回は使いました。チラシにも書いたんですけど、私が考えたキャッチコピーで「嬉しい 悲しい どうしたらいい 全てを抱擁するカラフルな黒になる」っていうのが、子供の時に「赤好きなんだよね、青も入れたらどんな色になるんだろう? 緑も入れよう! 黄色も入れよう!」ってしているうちに黒くなっちゃうっていう記憶が最初の発想になっています。
初演、東京では5公演だったんですけど、三面客席だったので、毎日観に来てくださった方も結構いらして、今日はここで、明日はそこで観るってお客さんもいらっしゃいました。今回のアイホールでは二面客席なので、位置を変えるとまったく見え方が変わります。とても臨場感のある、劇場の中が全部街になっているようなそんな印象になると思います。セットが可動式なので、ちょっと動いたりすると、観たいものが観えないっていう状況にもなりますが、それも含めて演出をしているので、ぜひ土曜日、日曜日の2回とも観ていただきたいです(笑)。

 

 

Co.山田うん『季節のない街』

平成29年3月18日(土)~19日(日)

平成29年
3月18日(土)18:00
3月19日(日)15:00
※開場/開演の30分前

 

― 嬉しい 悲しい どうしたらいい
 全てを抱擁する カラフルな黒になる ―

近年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞や、文化庁文化交流使の指名など、ますます活躍の幅を広げている振付家・ダンサーの山田うん。彼女が率いるダンスカンパニー「Co.山田うん」は、10名を超えるダンサーたちの繊細かつダイナミック、躍動的なエネルギー溢れるステージで、高い評価を得ています。
黒澤明監督の映画『どですかでん』の原作ともなった、山本周五郎の同名小説に想を得た本作は、生命力とユーモアあふれる”悲喜劇的ダンス”です。5年ぶりとなる待望の再演にご期待ください。

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チケット/
一般 前売3,500円 当日4,000円
学生 前売2,800円 当日3,300円
【日時指定・整理番号付自由席】
※学生券(4歳~大学生)の方は、当日受付にて学生証等をご提示ください
※3歳未満入場不可
※演出の都合により、開演後の途中入場を制限させていただく場合がございます

 

チラシPDF 【オモテ】 / 【ウラ】