世界演劇講座は、「次代を担う演劇人」を育成します。
20世紀は戦争と革命の世紀と言われます。未曽有の世界大戦を2度経験し、大量虐殺や核兵器の使用、脱植民地闘争や民族の自立、第三世界の独立といったように、わずか百年で実に様々な歴史を我々は経験してきました。他方で、資本主義の進展と行き詰まり、社会主義、共産主義の革命、冷戦の始まりと終焉を迎え、21世紀に入ると、宗教やテロリズム、地球規模での資源の枯渇や環境の変化など、さらに世界は複雑な対立構造の中に投げ込まれました。こうした歴史に演劇はどう対応したのか。
20世紀演劇はそれまでの演劇への反省から、根源的な読み直しが開始された世紀でもありました。科学の発達による芸術とテクノロジーの新たな組み合わせ、都市や国家の再編、前衛と実験の展開から演劇というジャンルの更新と役割の変化は、もはや後戻りのきかない、不可逆的な歴史を歩み始めたとも言えます。
チェーホフに始まる20世紀演劇は、ブレヒト、アルトー、ベケットという三人の革新的な演劇人を核に推移し、1960年代には世界的な同時性で、肉体=身体による演劇の革命がなされました。1920年代のアヴァンギャルドによる(第一次)演劇革命に続く、ネオ・アヴァンギャルド演劇の革命です。資本主義がいっそう侵攻した1980年代には、情報化社会の到来とともに、演劇の枠組みがゆるやかに解体し、パフォーマティヴな領界侵犯的な表現が生まれました。他方で、アメリカが存在感を増し、オニール、T・ウィリアムズ、A・ミラーなどが活躍し、ブロードウェイを中心にしたミュージカルが席捲して商業主義と結びつき、巨大な産業になったのも20世紀演劇のもう一つの特徴でした。
このように、演劇はつねに変化しつつ生まれ変わり、時代の危機に直面しながら、時代への格闘を継続してきたと考えられます。
そして21世紀に入った今、宗教や戦争といった一触即発な状況が生まれ、われわれ日本人もグローバル化が進んだ国際社会の真っただ中に押し出されつつあります。
演劇や芸術、文化の状況を考えることは、とりも直さず、世界の中の自分たちを考えることです。それが、20/21世紀を扱う今回の主旨です。
講座は、前半は問題提起のレクチャー、後半はビデオなどを見ながら、受講生とのディスカッションを中心に進めていきます。
●講義内容/ | 第1回(6月22日):チェーホフとロシア演劇 第2回(7月6日):ブレヒト革命と抒情詩的演劇 第3回(9月14日):アルトーと不可能性の演劇 第4回(10月26日):ベケットと不条理演劇 第5回(12月14日):60年代‐肉体/身体による演劇革命 第6回(1月18日):80年代のラディカリズム 第7回(2月8日):ポストドラマ演劇と未来形の演劇 |
●講師/ |
西堂 行人[にしどう・こうじん] 笠井 友仁[かさい・とものり] |
●日程/ | 平成27年6月22日(月)/7月6日(月)/9月14日(月)/10月26日(月)/12月14日(月) 平成28年1月18日(月)/2月8日(月) 講義時間 19時15分〜21時00分 |
●プレ講座/ |
「世界演劇/思想史論の基礎‐19世紀から20世紀演劇へ」 ■平成27年5月28日(木)19時15分〜 ■アイホール カルチャールームB(3階) ■受講無料 |
●会場/ | アイホール(伊丹市立演劇ホール) カルチャールームB(3階) 伊丹市伊丹2丁目4番1号 |
●対象者/ | 年齢や演劇経験は問いません。 |
●定員/ | 25名 ※申込順 |
●受講料/ | 7,000円(全7回) ※各回1,500円。ただし、定員に達した場合はありません。 |
●申込方法/ | 電話またはメールにて以下の必要事項をお伝えください。 【必要事項】 1.氏名、2.住所、3.電話番号、4.メールアドレス |
●申込先/ | 電話:アイホール 072-782-2000(火曜休館) メール:世界演劇講座 kasai.tomonori@gmail.com |
●申込締切/ | 5月31日(日) ※必着 |
●主催/ | 世界演劇講座 |
●共催/ | アイホール、近畿大学文芸学部 |