「令和2年度 次世代応援企画break a leg」参加団体の選考結果について
2019/09/04
「令和2年度 次世代応援企画break a leg」参加団体の選考結果について
参加団体を募集しておりました「令和2年度 次世代応援企画break a leg」につきまして、たくさんのご応募をいただきありがとうございました。
選考の結果、次の団体がアイホールに登場いただくことになりました。
■選出団体名【活動拠点】 ※登場順
○劇団不労社【大阪】 令和2年6月4日(木)~7日(日)
○遊劇舞台二月病【大阪】 令和2年6月11日(木)~14日(日)
日程は劇場使用期間になります。公演日程など詳細が決まりましたら、改めてご案内いたします。今後も、「次世代応援企画break a leg」にご注目ください。
■選出理由
選考委員/岩崎正裕(アイホールディレクター)
泉寛介(baghdad café)
【劇団不労社】
場所と時間を固定して、登場人物の出入りによって物語を進める戯曲作法は近代に確立したものだが、その手法を用いながら、グロテスクな現代人を描く西田悠哉さんの手腕は称賛に値するものだ。小さなコミュニティの歪な人間関係は、やがて観る者を笑いへと導く。それでいて手放しでは笑っていられず淀みのようなものが心に引っ掛かってくる。苦い笑いとでも云うのか。今回の選考に当たり、初めて劇団不労社を知ったが、今まで知らなかった自分を恥じたい気分になった。
岩崎 正裕
観客を突飛な展開へ導くため、飛躍力だけでなく日常描写に注力する技術、また作品が一方向へ向かうよう演技・演出・脚本をバランスよく配置し、有機的に機能させた構成力を評価しました。まだ片手ほどの公演数の劇団が、この手法をより成熟し深化させる機会としてbreak a legは相応しく思います。閉鎖社会をブラックコメディとして描く彼らが今までより広く大きな空間で、どのように緊張感を維持し、日常を飛躍させていくのか楽しみです。
泉 寛介
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【遊劇舞台二月病】
軽やかさに逃避せず、現代に於ける「事件」を執拗に追いかけるこの劇団の姿勢には、創作者でもある私は勇気づけられる。巧拙で云えば、まだこの先があるのだろう。しかし上手くなることに意味などあるのか。そんな問いさえ突き付けられる気がする。いずれにせよ、今こそ本企画にご登場いただきたい劇団であることは確かだ。演劇が現代を映す鏡であるなら、中川真一さんの憂鬱が、次回作でどんな様相を映し出すのか。あるいは乱反射を起こすのか。興味は尽きない。
岩崎 正裕
作品の題材となる事件へのストイックな劇作姿勢と、人間の奥深くに渦巻く心情や、やりきれなさを執拗に掴み取ろうと煩悶し、そのもがきや執着がこぼれ出てしまう作風に興味を惹かれました。また、団体の意欲と劇団員の成長性、同じ作品軸で進み続けている一貫性や忍耐力も踏まえ、総合的に判断しました。次回作の企画書からは、現実の事件に過去の事件や物語との相関性をあぶりだす彼らの手腕が、新たなフェーズに向かう萌芽を感じます。より深く、よりシンプルに突き詰めた形でのアイホール上演になると思います。
泉 寛介