「不器用な登場人物たち」が独特の関西弁の台詞を用いることで、現実なのか空想なのか、はたまた別世界なのか分からない、中毒性の高い、独自の世界を創りあげる突劇金魚。
主宰のサリngROCKは、『愛情マニア』(2008年)で第15回OMS戯曲賞大賞を、『金色カノジョに桃の虫』(2009年)で第9回AAF戯曲賞優秀賞を受賞するなど、関西の若手劇作家の中で今いちばんの注目株です。
《あらすじ》
夏の盛りが今年も来た。
窓を開けなくても大音量のクマゼミの声。
それに紛れて、今年は隣に強盗が入ったらしい。
木造築30年の安アパート安い部屋。
隣は、ずっと閉じこもっていた女の部屋。
捨てられず溜まったゴミ袋は小さなベランダまで埋め尽くして。
そのゴミ袋は夏の暑さで異臭を放っていた。
薄い壁一枚の向こう側。
筒抜けの声が聞こえなくなった。
………………
……聞こえてくるのはクマゼミの声だけ。
……だから僕は。
「だから」僕は。
いつも素通りするこの隣の部屋の、
ドアのノブをまわしてみる。
約1年8ヶ月ぶりの本公演は、今年7月に短篇作品集のひとつとして上演した『夏の残骸』をより濃密にパワーアップ。 満を持してアイホールに初お目見えです。
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